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近年の日本のバンドシーンには「ロックスター」たる人物はいるのだろうか。

そもそもロックなんていうのはかつては不良の聞く音楽として発展し、若者たちによる反体制勢力としてのコミュニティを築き上げるある種のカウンターカルチャーであった。

それが今ではどうだろうか。

「音楽業界」という言葉が出来てここ50年ほど。
かつては芸術を支えるのはパトロンと呼ばれる存在であった。
素晴らしい芸術の才能がある者に投資し、それを部屋に飾ったりパーティーでお披露目したりすることがステータスであったものだ。
つまり貴族の自己満足に支えられていたものが、今となっては音楽家とはお客様にCDを売って生活するビジネスマンとなってしまったのだ。
ロックとて例外ではなく、やはり売れないものはダメ、シビアにそういう世界となってしまったのだ。

しかしそんな音楽業界の背景にも負けず我が道を突き進み、その上で莫大な利益を上げてしまう。
そんな人物こそロックスターだ。
皆さんの中にもロックスターになれる素養がある人がいるかもしれない。

前置きが長くなってしまったが、今回は「ロックスター診断」なるものをつくってみた。
自分に当てはまる項目が多ければロックスターの素質があるかもしれないぞ!

早速やってみよう!





①前歯がない
ロックスターたるもの喧嘩のひとつやふたつやみっつやよっつはする。
1日にそれくらいの喧嘩をこなしていれば前歯に一発いただくこともあるだろう。
しかし前歯がないくらいが歌いやすいからちょうどよいのだ。
ただし喧嘩でなくても車で電柱に突っ込んで前歯がなくなったという人でもオーケーだ。

②家がない
ロックスターはギター一本あればどこでも暮らしていける生き物だ。
ロックスターの住まいの第1位は「よく知らない女の家」であり、自分の城などは構えないのだ。
ちなみに第2位は「サウナ」だ。

③お金がない
ロックスターの中には共通のルールがある。
「宵越しの金は持たねぇ」
つまり今日稼いだ金は今日使うという意味だ。
その結果毎日何処かで誰かと飲み、そしてよく知らない女の家に消えていくのである。

④肝臓が半分くらいない
ロックスターは毎日酒浸りの生活をしているので、肝臓が完全にやられているので過去に一度くらい切除手術をしているものだ。
しかし肝臓は再生能力があるので特に気にしていない。

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⑤人望がない
ロックスターとは常に孤独な人間である。
わざわざ人に媚びたりもしないので、仕事以外では関わろうとする人は少ない。
しかしよく知らない女には優しくしてもらえるのでそれで十分なのだ。
ちなみに一緒にサーフィンをしてくれるベーシストだけは確保しておく必要があるので注意しよう。

⑥音楽ってよくわからない
音楽理論というのは突き詰め始めるととても奥が深く、幼少時から英才教育を施されているクラシック畑の音楽家などにはとてもかなうものではない。
しかしロックスターはそんなことは気にしなくてもギターのコードAとEとDがわかっていればいいのだ。
適当に弾いているうちにセブンスの音がたまたま入ってしまえばとそれはそれでとりあえずブルース風に聞こえて超かっこいい。
それこそがロックスターたる所以なのだ。

⑦喋らない
ロックスターはその佇まいだけで十分な魅力がある。
下手に喋ってしまえば「あれ、なんか言ってること薄っぺらくない?」と思われかねない。
かの有名なロックシンガーは「ロックンロール!」ととりあえず言っておけばいいと思っているがまさにその通りである。
「どうやって作曲するんですか?」みたいな記者の質問には「集中すればできるよね」くらいクールな回答を返そう。

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⑧ライブに出ない
ロックスターであるからにはライブこそが大きな収入源だが、そのライブに出ないということも時には大切である。
原因はなんでもいい。
体調不良というのも良いが、やはり「メンバーと喧嘩して母国に帰った」なんて理由はロックスターらしくてとてもポイントが高い。
ライブを楽しみにしていたファンも「やっぱりあいつロックだわ!」と許してくれるだろう。

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⑨どこにもいない
ロックスターは神出鬼没である。
時にはメンバーやスタッフからも離れてみることが大切だ。
しかし連絡先だけは明確にしておいて、バンドのリーダーから「帰っておいで」とたくさん留守電を入れておいてもらおう。

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⑩ロックって何かよくわからない
そもそもロックスターはロックを地で行くわけなので、いちいち「これはロックっぽいかな」なんて考えて行動しない。
そういう意味ではロックなんてよくわからない。
黙ってろ!俺がロックだ!くらいの心持ちがちょうどよい。
しかし時にはポップな曲を作れるということを小出しにしておけば、バンドの全盛期が終わったあとでもアニメソングやタレントからタイアップのオファーがあるぞ!


さぁあなたはいくつの項目が当てはまっただろうか。
流石に全項目当てはまるなんて人がいたら正直どん引きであるが、当てはまる項目が多かったあなたはもうまともな生活なんて辞めてロックスターになることをお勧めする。

先日友人が「今の若いバンドにロックスターと呼べる存在がいなくて寂しい」なんてことを言っていた。
音楽というのは嗜好も流行も時代とともにどんどん変わっていくものであるが、世の中にはこうして枠をぶち壊してスカッとさせてくれる、そんな存在を待ちわびている人もいるということだ。
少なくとも私もその一人であろう。




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