何が違うの?ODとDS
数あるエフェクターの中でも特に種類の多いオーバードライブとディストーションは、共に音を歪ませるエフェクターです。
一般的にディストーションの方がよく歪む、音が粗い、オーバードライブの方がマイルドで中域が出るなどと言われます。
しかし、ハイゲイン・オーバードライブや、スムースなサウンドのディストーションなど、上記のような特徴に当てはまらない物も多々あります。
では一体オーバードライブとディストーションは何が違うのでしょうか?
ギタ天では今回オーバードライブとディストーションの違いを様々な角度から見て生きたいと思います。
その1
いきなり結論からいくと・・・
オーバードライブとディストーションの違いですが
答えは・・・
製作者(エフェクターメーカー)が「これはディストーションですと言ったらディストーション」、「これはオーバードライブといったらオーバードライブ」になります。
えぇ!?そうなの?と思われるかもしれませんが、そうなんです。
と言うのもメーカーによってオーバードライブやディストーションと言う単語の使い方や意味が異なるからです。
その為、オーバードライブとディストーションに明確な定義は有りません。
そもそもディストーションの意味が「歪み」ですから、極端に言うと全ての歪系のエフェクターはディストーションと言っても過言ではないのです。
・・・と言ってしまうと話が終わってしまうので、ディストーションが「歪み」であるならば、オーバードライブとは何かを次回説明したいと思います。
今回のまとめは「歪系エフェクターは全てディストーションとも言える」でした。
*ほとんどの方が最初に買うエフェクターは歪系だと思いますが、私の場合はワウペダルでした。
理由は大きくて何となくカッコよかったからです。
その2
オーバードライブとは・・・
※今回の写真はアンプの出力をオシロスコープと呼ばれる計測器で測ったものですが、難しく考えずに波形(線)が変形したら(歪んだら)音も歪む程度に考えれば大丈夫です。
「歪系エフェクターは全てディストーションとも言える」と言いましたが、それではなぜオーバードライブとディストーションという2種類が存在するのでしょうか?
それはオーバードライブという名前にヒントがあります。
オーバードライブには「酷使する」、もしくは「酷使した状態」と言う意味があります。
「酷使する」、この単語だけで何かが歪みそうですが一体なにを酷使するのかというと、それはアンプです。
ここで言うアンプと言うのは特に真空管アンプになります。
本来100ワットのアンプであれば、100ワットの状態でもクリーン・サウンドを出せると思われるかもしれません。
しかし、アンプにもよりますが真空管アンプの場合、クリーンなセッティングにしていても100ワットのアンプであれば大体80ワットくらいまではクリーン・サウンドのまま音量が上がりますが、そこから先は少しずつ歪み始めます。
さらにボリュームを上げていくと歪みが大きくなり100ワットに達する頃にはクリーン・サウンドではなくなってしまいます。
※アンプの設計によって異なります。
アンプの設計者はそんな風にアンプの限界まで音を大きくする事を想定していなかったのかも知れませんが、60年代から70年代にかけて大きな会場でライブやフェスを行うようになるとギタリストたちはどんどん音量を求め、ついには歪んでしまう段階にまで音量を上げて行きました。
この様に大音量で使用するような「アンプを酷使した状態」がオーバードライブ、またそれにより得られるナチュラルに歪んだサウンドがオーバードライブ・サウンドと言うことです。
このようにしてある種、偶発的に生まれたオーバードライブ・サウンドはコンプレッション効果によるサスティーンの増加や、倍音の多いエッジの立った攻撃的なトーンを得られる事からロック・ギタリストたちに好まれる事になります。
しかし、このようなオーバードライブ・サウンドを得るためには問題がありました。
一つは大きな会場でやる時のような大音量にしないと得られないと言うこと、もう一つはトランジスタ・アンプでは真空管アンプで得られるような「スムースかつウォームでナチュラルな歪み」が得られない事でした。
そこで、真空管アンプを酷使(オーバードライブ)した状態で生まれるサウンドを、音量が低くクリーンな状態のアンプでも再現出来るように作られたのがオーバードライブというエフェクターです。
こうやって考えるとオーバードライブとは歪んだアンプの音を再現するというアンプシミュレーターの先駆けと言えるかも知れません。
さてオーバードライブがアンプの歪みを再現しようとした物であるならばディストーションとはどのような物でしょうか。
という訳で、次回はディストーションの歪みについて説明したいと思います。
今回のまとめは「オーバードライブはアンプシミュレーターともいえる」でした。
※実はオーバードライブには「アンプをオーバードライブさせるブースター系の物」と、「アンプがオーバードライブした状態の音を模した物」の2種類があります。
この辺りはまた別の機会に書きたいと思います。
writing by ギター天国 〜極上音のおもてなし〜
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